或るロリータ

A Certain Lolita

オンとオフが切り替えられない人生になってしまった

なんて言うと、大袈裟すぎるだろうか。しかし、近頃の私の悩みといえば、ほぼそれに尽きるといってもいい。中学生以降、私は学校なんて行かなくて済むなら行きたくないと思うたぐいの人間だった。部活も勉強も、趣味でさえ、一筋で打ち込むということを知ら…

古道具店で見つけた中身の読めない「マスク本」にワクワクする

三鷹の小古道具店「四歩」をご存知だろうか。駅前の大通りを少し歩いて、ふと路地裏へ折れたところで、ひっそりと店を構えている。小さな店で、目立つ看板もない。しかし、店先まで行くとその異様な雰囲気に圧倒されてしまう。「この店には何かあるぞ……!」…

夜の映画監督だったあの頃

私はお酒が好きだ。三度の飯よりお酒が好きだ。むしろ、三度の飯はお酒の愉しみを引き立てるために存在しているといってもいい。 地元にいた頃、私は毎日のようにお酒を飲んでいた。平日は仕事が終わると、まだ陽も暮れないうちに缶ビールを開けて晩酌を始め…

女性が髪を切るということ

女性が髪を切るということがどういうことかは、男にはよくわからない。実は深い意味なんてないと言われているけれど、その一方で、やっぱり何かしらの意味があるのではないかとも疑ってしまう。結局私たちはその真相を知ることなどできないのだ。あの日女子…

いま、私の手元に夏がある

どうやってこの本の存在を知ったのか憶えていない。おそらく誰か知り合いのつながりのツイッターなんかで偶然発見したのだと思う。それよりも最初にこの表紙が目に入ったときのイラストといい、表題の短歌といい、手書きの文字といい、すべてが私の捜してい…

失業からスタートした私の2016年

ちょうど去年の今頃だった。地元で勤めていた仕事を辞め、上京し、新しい仕事を始めて一か月ほどが経過していた。上京する前に抱いていた東京へのイメージは、かつて旅行に訪れた際の東京駅や日本橋の襟を正したビル群や、活気あふれる上野浅草のあたりであ…

貧乏はメンタルを弱くする

久々に文章を書く。気づけばずっとこのブログも更新していなかった。仕事が忙しくて、まるで手がつけられなかったのだ。 私がネット界隈から失踪してしまったと思った人もいたかもしれない。だが、私はなにぶん往生際の悪い人間なもので、美しい別れとか、鮮…

「キツイけど定時に終わる仕事」を選ぶことは果たして正しいのか

仕事と趣味、この二つは人生にとって非常に重要なものである。趣味なんて、所詮付加価値でしかないという人もいるかもしれない。確かに、最低限の給料、最低限の衣食住を得ることと比べて、趣味というものは明確な基準の存在しないものである。まったくなく…

机を買うお金がないから自分で作った

就職して早半年が過ぎた。毎月僅かながらの給料をもらい、寝床と質素な食事くらいは確保できるようになった。しかし貧乏暮らしからは未だ脱出の兆しはなく、忘れたころに届く健康保険と国民年金の支払い通知に震え上がって目をつぶりたくなるのは相変わらず…

私は懐かしくなりたくて映画を観る

ときどきそんな気がするのだ。私にとって物語の筋道などどうでもよくて、ヒロインが有名女優かどうかなんて関係がなくて、監督の裏設定などはなから興味がないのだ。私は映画を観るときいつだって、その風景や音楽、ヒロインの細やかな動作や声に気を取られ…

ポケモンに支配された街の中で

街がいっぺんに明るくなった。明るくなりすぎてしまった。憂鬱なものはみんな騒々しくなり、病もみんな健康になり、あらゆるビルとビルの隙間にまで光が当たるようになった。街に陰などどこにもなくなった。昼が永遠に終わらなくなった。 こんなに天気のよい…

人に何かを伝えるということの難しさ

人は、自分のためだけに発せられた言葉の真理にはなかなか気づかないものである。学問にしろ恋愛にしろ、自分のためだけに用意された言葉、作られた言葉は、案外心に響かない。人は、日常の中からしか学ぶことのできない生き物なのだ。 だから本当に伝えたい…

鎌倉の紫陽花を見に行ったら夏が始まった

仕事を始めてからなにかと忙しいこと続きで、ろくに休めもしない休日が続いているところである。無尽蔵に湧いてくるやりたいことリストに、どうにか優先順位をつけつつ、ふと、念願の鎌倉へ今年も行けていないことに気づいた。毎年毎年、鎌倉の紫陽花に憧れ…

自分が今、幸せなのかが分からない

五月がもうすぐ終わる。夏がくるのだ。私は夏が好きだ。このまま走り続けていたら、夏なんてあっという間に訪れて、そうしてあっという間に過ぎてゆくだろう。そう思うと、一体どういう準備をして夏を迎えればよいのか分からなくなってしまった。 新しい仕事…

八代亜紀はなんて可愛いんだ

そんなことを言うと白い目で見られるのが世間である。 しかたがない。彼女は私よりずっとずっと年上だからだ。だけど八代亜紀の目つきが今でも色気を備えているのには間違いないし、歌声の魅力がいつまでも衰えないのも事実である。 Marty Friedman with Aki…

悲しい恋の歌を聴きたい夜もある

幸福より憂鬱が酒の肴になることは間違いない。今夜も私はビールにウイスキー、それでは飽き足らず安物の焼酎を煽りながらネットサーフィンに明け暮れている。それも悲しい恋の歌ばかりを探し求めて。暗い気分に浸れるのは、酒飲みにとって至福の時間である…

今年あなたはスナックでどんな曲を歌いますか

あなたの十八番は?と訊かれると困ってしまうが、知らない人の前でもまず歌いたい曲というのはいくつか存在する。そのひとつが風の『22才の別れ』である。 風というバンドはかつてフォークソング全盛期のかぐや姫の伊勢正三がやっていたバンドである。バンド…

ジュリーのようなエロい男に憧れる

エロいと言われる男に憧れる。それは決して飲み会の席で下ネタを言って許されるというようなアドバンテージが欲しい訳ではない。スカートめくりをして大目に見られたい訳でもない。いいや、それらが許されるならそれに越したことはないけれど、私が憧れてし…

どんどん何もできなくなってゆく自分が嫌で

仕事を始めてもうすぐ二ヶ月が経とうとしている。仕事をしていなかった頃の私は時々ハロワに行くことを除けば、毎日ブログを書くくらいしかすることがなくて、ブログを書くことでネット上に自分が今日生き通したという記録を書き残していないと、生きている…

いつしか私の前に立ちはだかっていた労働の壁が消えた

大人になるにつれて、自由でない時間のすべてが嫌いになった。小学生のころは苦手な水泳と跳び箱の授業がある日以外はそれなりに楽しく通っていたし、中学校のときは国語と社会とパソコンの授業がある日だけは何が何でも眠い目をこすって通っていたし、高校…

少女になりたかった私の話

きっと私は少女になりたかったのだ。少年として煌めきながら、青年として駆け抜けながら、大人になって立ち止まりながら、いつでも少女になりたかった。懐かしいという私のいちばん好きな感情に連れ去られて、まぶしい陽射しの中へ戻りたい。できることなら…

自堕落のループにはまっている

生活にも陰と陽があると思う。特に私はそれが顕著だ。調子のいいときには物事がすべてうまく行って体調も万全で、仕事も趣味もうまくいくものなんだけれど、そういう日はおおよそ一週間も続けばいい方で、すぐに私はだめな方のループに陥ってしまう。そして…

合コンで好きな文豪を聞かれたときの最適な答え方

まず初めに申し上げると、私は合コンに参加したことがない。それは私が幼い頃からずっと心に決めた許嫁がいて、来る日も来る日も招待状を破り続けていたからという訳ではない。そもそも私の元には合コンへの招待状など届いたためしがなかったのだ。その原因…

noteが100記事に達したので、自らの精神状態を振り返る

noteを始めたのが一昨年の七月のこと。もう二年も経とうとしているのがおそろしい。 noteは私にとって精神安定剤のようなものだった。あの居心地のよい空間で、好き勝手にポエムを書き散らすことは、ずいぶんと憂鬱な頃の私を救ってくれていた。 といっても…

忘れられない猫のこと

ときどき我が家の庭に忍び込んでいる猫がいた。我が家は動物を飼わない方針だったから、私はほとんど動物に触れる機会もなく育った。見るのは可愛いけれど触れるのは苦手だった。往々にして動物の前で怯えた表情を見せる人間は動物にも好かれない。私もこれ…

さだまさしのアルバム『夢供養』がオリコン1位になる時代があった

さだまさしのアルバムで一番好きな一枚を訊かれたら答えに悩んでしまうけれど、名盤を選ぶのなら『夢供養』の存在は避けては通れない。『夢供養』は、1979年に発表されたさだまさしのソロ4枚目のアルバムだ。オリコン1位、レコード大賞のベスト・アルバム…

酔っぱらうということは、憂鬱を先送りにするということである

絶望の朝はいつもアルコールの残り香がする。たとえば楽しい夜があったなら、どうにかその夜を終わらせたくないと思ってしまうのが人間である。そうして夜を引き延ばすために酒を飲み、月曜日から金曜日までのあいだに起きたあらゆるもやもやを、火照った頭…

夜の街をドライブしていた頃

まだ故郷にいた頃、私はときどき夜になると思い立ったようにドライブへ出かけた。おんぼろの軽自動車に乗って、街灯もない山道を下って街へ出た。私にとって毎晩の憂鬱とたたかう燃料はアルコールだけだったから、ドライブをするという日には生唾を飲み込ん…

歩きながら音楽を聴くのは楽しい

タイムカードを切って、仕事場のドアを開ける。エレベーターを待つあいだ、ポケットからiPodを取り出す。イヤホンを耳に挿して、iPodの電源を入れる。今朝、通勤中に聴いていた相対性理論が一時停止になったままだ。プレイリストをぐるぐる回して、浅川マキ…

空の綺麗な町だった

東京には二種類の人間がいる。それは東京で生まれた人間と、田舎で生まれた人間である。私は後者、東京の空を狭いと思ってしまう方の人間だ。あらゆる場所で人々は持ち寄った故郷の話をする。故郷の話は人と人とをいちばん初めに繋ぐきっかけになる。そうし…

仕事を辞めている間に観た映画を振り返る

仕事を辞めてニート生活が始まった当初、せっかくだから沢山インプットをしようと、度々ツタヤへ赴いたものである。私は映画に関してまったくの素人である。もっとも、映画の製作にでも携わっていない限りみんな素人には違いないのだろうけれど、とりわけ私…

初任給が出たらまず何に使うべきか

死が間近に感じられるほど生活に困窮していたニート生活も終わり、何食わぬ顔で通勤電車に乗る毎日もすっかり板についてきた。とはいえまだ初任給をもらうまでには一ヶ月の日月を要する。カード払いで負債を先送りにしつつどうにか毎日を凌いではいるけれど…

気になるあの娘の給食を

四時限目の終わりを告げるチャイムが鳴ると教室は一斉にがやがやと騒がしくなる。班ごとに机を向かいあわせる。給食の時間が来たのだ。給食当番の班はみんな白衣を着て帽子をかぶっている。私は友達と連れ立って手洗い場へ向かう。 手洗い場はこの階にはふた…

貧乏だから家で餃子をつくる

ビールといえば餃子。餃子といえばビール。このふたつはまるでラブコメにおけるツンデレな幼馴染のように切っても切れない関係である。 数年前、初めて地元に餃子の王将ができた。田舎者は大喜びだった。毎日開店時間前に店の前で行列ができていた。「みんな…

仕事を辞めたらすぐにハロワに行かないと後悔する

私は今年の始め、仕事を辞めた。しかし、役所の手続きや引越しの準備に追われて疲れていたのもあり、ハロワへ通い始めたのは退職からおよそ一ヶ月後であった。結論から言うと、そのせいで、20万円以上の大金を損してしまったのだ。 「ハロワなんて使わずに就…

noteで小説を書くのが楽しい

noteというサービスをご存知だろうか。まだ数年前にできたばかりなのだが、これだけ情報が氾濫する社会の中で、シンプルにクリエイターが写真でも音楽でも文章でもなんでも投稿できるというサービスである。noteには投げ銭システムがあり、それで大儲けして…

社会復帰を果たして最初の一週間が終わった

金曜日の夜だ。最高の瞬間だ。この感覚を味わったのは数ヶ月ぶりである。地元にいた頃はいつも金曜日になると私は浮き足立っていた。帰ったら友達とお酒を飲めるからである。仕事中でもどんなお酒を飲むかとかどんな料理を作るかとかそんなことばかり考えて…

文芸フェスで夜の丸の内へ行ってきた

風のさわりが肌に優しくなり始めた早春の宵、ようやく社会復帰した私は久しく終業後の心地よい気だるさを引きずりながら、中央線の上り電車の混み合う車内へ乗り込んだ。向かう先は東京駅丸の内ビルディング。今宵はなにやら文芸フェスなるイベントが行われ…

たまには手書きでブログを書いてみる

妹が女子高生じゃなくなってしまった

春はかなしい季節である。制服姿の学生が、卒業証書片手に歩いているのを見ると、決して何にもなかったけれど、なぜだか心にいつまでもわだかまりつづけているあの青春のころを思い出して、毎年のごとくに私は胸を痛める。 三月は私には無関係の、全国の中高…

今日でニートを辞めることになった

ニート生活を始めて二ヶ月近くが経とうとしている。 steam.hatenadiary.com 自由にはちがいないけれど不安でいっぱいだった。際限のない自由はもはや自由ですらないことを知った。そんな期間だった。 どんな失敗も、どんなに無意味に思える時間も、あとで思…

夏が好きすぎて写真集を作ってしまった

私は夏が好きである。何よりも夏が好きである。夏という季節に関わるすべてのものが好きである。このブログを始めた頃もちょうど夏の手前で、夏に関する記事を毎日毎日書いていたのを憶えている。だから、夏が好きだという人に出逢うと嬉しいし、その気持ち…

なぜネットサーフィンをしているときは時間が一瞬で過ぎるのか

インターネットは便利なものである。指先ひとつで世界中の情報を簡単に得られるからだ。ネットの海を飛び回るのは誰も楽しい。休日など起き抜けにツイッターを見て、そこで面白そうなリンクが貼られているのを思わずクリックし、そこからまた別の記事に飛ん…

故郷の言葉で話せる相手

故郷の言葉で話しているとき、私は早口になるらしい。 東京は田舎者の寄せ集めだと言うけれど、出てきたばかりの私には、誰が根っからの東京人で、誰が自分と同じ田舎者かなんて、一切判別がつかない。生活はスマートだし、着ている服もお洒落だし、言葉も自…

夕暮れの玉川上水沿いを散歩する

ニートにとって一番の問題は、運動不足である。ハロワに呼びつけられたり、食材を切らしてスーパーへ出かけたりする日であれば、往復二十分ほどの道のりを歩くことはあるんだけれど、何の予定もない日には、まったく陽の光を浴びずに一日を終えるなんてこと…

「佐々木好」という歌手を知っているだろうか

私は、人生で彼女の名前を知っている人間に、一人しか出逢ったことがない。それは地元でたまに顔を出していたレコード喫茶の店主である。父も母も知らなかったし、テレビで話題に上るのも観たことがない。私はラジオを聴く習慣がないから、もしかしたらラジ…

ニートだけどウイスキーを飲んで酔っぱらう

私はニートである。ここのところニートアピールをしすぎているきらいがあるが、私にとってニートである状態というのは、いわば熱を出して学校を休んだときのようなもので、後ろめたさはあるけれど新鮮で、特別なものである。だからニートであるという非日常…

ベッドの上で永遠の時を過ごした

中学生の頃、私の部屋にあたらしいベッドが来た。両親が買ってくれたのだ。至ってありふれた膝ほどの高さに、ほどよい硬さのマットレスがあり、リモコンでリクライニングできる仕組みになっていた。入院したことのなかった私は、物珍しさにわざわざベッドを…

ニートになって変わったこと

私は二十年以上九州の田舎町で育ってきた。平凡な家庭に生まれたが、大した苦労もせずに育ち、大して考えもせずに地元の企業に就職した。毎週末は自宅か友人の家で酒を飲み、月に一二度は居酒屋へ繰り出すこともできた。たぶん、人はそれを平和と呼ぶのだろ…

久しぶりに家族に会った

二十年以上住んでいたあの家の私の部屋が空っぽになってから、もう三ヶ月になる。始めのうちは引っ越した部屋の写真や食べている料理の写真など、芸能人さながらに逐一家族のグループラインに報告していた私だが、生活が忙しくなるにつれ、用事があるときく…