或るロリータ

A Certain Lolita

仕事を辞めたらすぐにハロワに行かないと後悔する

私は今年の始め、仕事を辞めた。しかし、役所の手続きや引越しの準備に追われて疲れていたのもあり、ハロワへ通い始めたのは退職からおよそ一ヶ月後であった。結論から言うと、そのせいで、20万円以上の大金を損してしまったのだ。 「ハロワなんて使わずに就…

noteで小説を書くのが楽しい

noteというサービスをご存知だろうか。まだ数年前にできたばかりなのだが、これだけ情報が氾濫する社会の中で、シンプルにクリエイターが写真でも音楽でも文章でもなんでも投稿できるというサービスである。noteには投げ銭システムがあり、それで大儲けして…

社会復帰を果たして最初の一週間が終わった

金曜日の夜だ。最高の瞬間だ。この感覚を味わったのは数ヶ月ぶりである。地元にいた頃はいつも金曜日になると私は浮き足立っていた。帰ったら友達とお酒を飲めるからである。仕事中でもどんなお酒を飲むかとかどんな料理を作るかとかそんなことばかり考えて…

文芸フェスで夜の丸の内へ行ってきた

風のさわりが肌に優しくなり始めた早春の宵、ようやく社会復帰した私は久しく終業後の心地よい気だるさを引きずりながら、中央線の上り電車の混み合う車内へ乗り込んだ。向かう先は東京駅丸の内ビルディング。今宵はなにやら文芸フェスなるイベントが行われ…

たまには手書きでブログを書いてみる

妹が女子高生じゃなくなってしまった

春はかなしい季節である。制服姿の学生が、卒業証書片手に歩いているのを見ると、決して何にもなかったけれど、なぜだか心にいつまでもわだかまりつづけているあの青春のころを思い出して、毎年のごとくに私は胸を痛める。 三月は私には無関係の、全国の中高…

今日でニートを辞めることになった

ニート生活を始めて二ヶ月近くが経とうとしている。 steam.hatenadiary.com 自由にはちがいないけれど不安でいっぱいだった。際限のない自由はもはや自由ですらないことを知った。そんな期間だった。 どんな失敗も、どんなに無意味に思える時間も、あとで思…

夏が好きすぎて写真集を作ってしまった

私は夏が好きである。何よりも夏が好きである。夏という季節に関わるすべてのものが好きである。このブログを始めた頃もちょうど夏の手前で、夏に関する記事を毎日毎日書いていたのを憶えている。だから、夏が好きだという人に出逢うと嬉しいし、その気持ち…

なぜネットサーフィンをしているときは時間が一瞬で過ぎるのか

インターネットは便利なものである。指先ひとつで世界中の情報を簡単に得られるからだ。ネットの海を飛び回るのは誰も楽しい。休日など起き抜けにツイッターを見て、そこで面白そうなリンクが貼られているのを思わずクリックし、そこからまた別の記事に飛ん…

故郷の言葉で話せる相手

故郷の言葉で話しているとき、私は早口になるらしい。 東京は田舎者の寄せ集めだと言うけれど、出てきたばかりの私には、誰が根っからの東京人で、誰が自分と同じ田舎者かなんて、一切判別がつかない。生活はスマートだし、着ている服もお洒落だし、言葉も自…

夕暮れの玉川上水沿いを散歩する

ニートにとって一番の問題は、運動不足である。ハロワに呼びつけられたり、食材を切らしてスーパーへ出かけたりする日であれば、往復二十分ほどの道のりを歩くことはあるんだけれど、何の予定もない日には、まったく陽の光を浴びずに一日を終えるなんてこと…

「佐々木好」という歌手を知っているだろうか

私は、人生で彼女の名前を知っている人間に、一人しか出逢ったことがない。それは地元でたまに顔を出していたレコード喫茶の店主である。父も母も知らなかったし、テレビで話題に上るのも観たことがない。私はラジオを聴く習慣がないから、もしかしたらラジ…

ニートだけどウイスキーを飲んで酔っぱらう

私はニートである。ここのところニートアピールをしすぎているきらいがあるが、私にとってニートである状態というのは、いわば熱を出して学校を休んだときのようなもので、後ろめたさはあるけれど新鮮で、特別なものである。だからニートであるという非日常…

ベッドの上で永遠の時を過ごした

中学生の頃、私の部屋にあたらしいベッドが来た。両親が買ってくれたのだ。至ってありふれた膝ほどの高さに、ほどよい硬さのマットレスがあり、リモコンでリクライニングできる仕組みになっていた。入院したことのなかった私は、物珍しさにわざわざベッドを…

ニートになって変わったこと

私は二十年以上九州の田舎町で育ってきた。平凡な家庭に生まれたが、大した苦労もせずに育ち、大して考えもせずに地元の企業に就職した。毎週末は自宅か友人の家で酒を飲み、月に一二度は居酒屋へ繰り出すこともできた。たぶん、人はそれを平和と呼ぶのだろ…

久しぶりに家族に会った

二十年以上住んでいたあの家の私の部屋が空っぽになってから、もう三ヶ月になる。始めのうちは引っ越した部屋の写真や食べている料理の写真など、芸能人さながらに逐一家族のグループラインに報告していた私だが、生活が忙しくなるにつれ、用事があるときく…

喉から血が出た

午前三時ごろ、私はお風呂に入っていた。そんな時間にお風呂に入ることがまずもって不健康の象徴のようであるから、同情の余地もないのだけれど、とにかく私は真っ白な洗面台に赤い模様を描いてしまったから、慌ててパソコンに向かったわけである。調べても…

人前で絶対に歌えなかった私がカラオケを好きになるまで

歌が好きな子供だった。流行りのJ-POPやTVのCMソングを、親の前でも近所のおばさんの前でも友達の前でもいつも口ずさんでいた。街はどこでも私にとってステージだったし、太陽はスポットライトだった。 特に女性歌手の曲が好きだった。少年特有の甲高い声で…

遅筆の苦悩

私は書くのが遅い。とても遅い。ここのところほぼ毎日ブログを更新しているけれど、ひとつの記事の分量は1000文字から5000文字の間くらい。大した分量ではない。その癖いつも気がついたら一時間くらいかかっている。 私が書くのが遅い原因は、何も人差し指で…

人間を辞めた夜

人はどうして真夜中になると食欲が急激に湧いてくるのだろう。 人はどうして酔っ払うと幾らでも食べられるような気がしてくるのだろう。 つまり夜更けまでお酒を飲んでいる状態というのは、もっとも不健康でもっとも自堕落で、断罪されるべき悪徳にちがいな…

伊藤潤二という天才

伊藤潤二という漫画家を知っているだろうか。よく稲川淳二と勘違いされることがあるが、ホラーという点では共通している部分がある。だが、伊藤潤二の漫画は単なるホラーではない。圧倒的な画力と、斜め上を行く発想で、ただおぞましいのではなく、精神的に…

初めて創作した日のことを憶えているか

ニートだって酒を飲みたくなる日はある。戸棚に大切に仕舞っておいた電気ブランを取り出して、センチメンタルな曲をかけながら、少し、心を休めようと思った。私にとって懐かしむという行為は、現実のしがらみから逃れられる幾つかの方法のうち、もっとも手…

ハローワークの説明会に行ったけど泣きたい

午前八時、目覚まし時計に叩き起こされるけれど、手探りでスイッチを切り、再び夢の中へ。次に目覚めたのは九時半を回った頃だった。焦って跳ね起きて、一杯の水を飲んでから、服を着替え、マフラーを巻いてコートを羽織り、帽子をかぶって家を出る。ニート…

歯医者は誠実な男のためのキャバクラである

私は人生で三度、キャバクラに行ったことがある。一度目は前に働いていた会社の忘年会のあとに連れて行かれた時。二度目は卒業後に会った高校の同級生(在学中は一度も遊んだことはなかった。しかも彼は酒が飲めない)の誘いを断りきれずについて行った時。…

或るニートの食卓

仕事を辞めて一か月。日毎に生活が苦しくなってきた。ギブミーチョコレート。お菓子なんて当分買えそうもない。待てども待てども給料日なんて来ないから、少しでも延命を図るために、節約生活を行うことにした。 かといって、体を壊してしまっては元も子もな…

バレンタインデーの思い出

それはまだ私が小学生だった頃の話である。私には好きな女の子が何人かいた。幼少期から惚れっぽい性格をしていたのだ。幼稚園の頃なんておんなじ水色組の中だけでも十人以上好きな娘がいたくらいだから、小学生になって大分マシになったといえる。 1年3組の…

ホッピーの魅力

ホッピーをご存知だろうか。若者の酒離れが叫ばれる昨今、宴会の席で「とりあえずビール」の覇権が続いた日本の歴史も今や変革を迎えようとしている。 そもそも、何故「とりあえずビール」なのか、その理由を考えてみる。 一杯目の注文をスムーズに行うため…

私が高校時代に友達ができなかったわけ

私には友達がいなかった。ただの一人もいなかった。人が「青春」と聞いて真っ先に思い浮かべるであろう高校時代の三年間にである。 私が生まれたのは九州の片田舎である。町には大きな川が流れ、山もあったし田園風景も広がっていた。むしろそれしかなかった…

もう転職なんてしない

初めて買ったCDが槇原敬之の「もう恋なんてしない」だった。今では目にすることもなくなった8cm盤の小さなCDを、割れるほど聴き込んだのを覚えている。その頃私はまだ小学生だった。取り立てて失恋をした直後だったわけではないのだが、流行りのイカした派手…

多分、この先もずっと甘い夢を見て生きてゆくのだろう

ふいにそんなことを考えてしまって絶望することがある。生活にゆとりがあるうちは、漫画家とか総理大臣とかそんな叶いそうもない夢を追っているポーズを取っていても、それはそれで冗談まじりのロマンチストでいられるんだけれど、生活が困窮するにつれて、…