大分駅といえば、最近大幅な改装を行ったり、ドでかい駅ビルが完成したりと、次々と巷で話題を生んでいる九州の新星である。県民はようやく都会の仲間入りを果たしたと浮かれているが、その前にみんな大分県ってどこにあるか判るのだろうか。
駅の正面北口はこんな感じになっていて、正直都心に住んでいる人にとっては珍しくも面白くもなんともないだろうが、古くからあの寂びれた駅前を知っている私にとっては、完成後に初めて見た時その広さとオシャレな外観に動揺を隠せなかった。大分駅っていうのはいつまでもダサいものだと思っていたからだ。それは夏休み明けに見たクラスの好きな女の子が急に女っぽくなっているのに気付いたときのような、どこか淋しい気持ちに似ている。
無駄に広い駅前の通路には、まばらな人影。人とぶつかりそうになる心配がないから気楽だ。鎮座しているのは大友宗麟像。立ってるけど。パッとしないから指原莉乃像にした方が良かったのではないかという声もあるが、いずれにしても大分県の評判にはさして影響がないだろう。
スタバがある。都会度ってスタバの数で決まるらしい。だけど私は入ったことがないし、これからも足を踏み入れることはないだろう。あんなガラス張りの開放的な空間でコーヒーなんて喉通らないし!あんなとこで緊張しないのは美女とイケメンだけだ!!私は薄暗い居酒屋がいい!!!!!!
気を取り直して、駅ビルの中へ潜入してみたが、服屋のブランドと雑貨屋なんかが立ち並ぶばかり。服屋恐怖症の私にはとても立ち入ることが出来なかった。食べ物屋は未だに列をなしていて、まだまだ田舎者の熱狂は冷めそうにない。
唯一気になった店が、ポケモングッズ専門店。
なにこれ可愛すぎる……。
ピカチュウのコースターとか薬缶とかお弁当箱とか、全部欲しくなった。
特に大きなピカチュウが寝そべってるぬいぐるみが可愛くて、だけど値段みたら3000円以上して、しばらく迷ったけれど一度店を離れて、帰りにもう一度寄ってまたピカチュウとにらめっこをしたが財布の方が今にも嘔吐しそうなやつれ具合だったので諦めた。
それから、目当てだったワインのお店に寄って帰ることにした。
値段別に棚が分かれていて、ずらりと各国のワインが並んでいる。私が一番端の1000円代の棚で半ば冷やかし気味に色んなワインを眺めていると、入口で客寄せをしていたお姉さんが試飲をさせてくれた。計四杯飲んだけれど、どれもおいしかったからあまり参考にならなかった。それよりお姉さんが可愛かったということしか記憶に残っていない。
結論からいうと、お姉さんが可愛かった。
ほとぼりが醒めたら今度はゆっくり回ってみよう。