或るロリータ

A Certain Lolita

八代亜紀はなんて可愛いんだ

そんなことを言うと白い目で見られるのが世間である。

しかたがない。彼女は私よりずっとずっと年上だからだ。だけど八代亜紀の目つきが今でも色気を備えているのには間違いないし、歌声の魅力がいつまでも衰えないのも事実である。


Marty Friedman with Aki Yashiro

こんな動画を見つけた。

かっこよすぎて思わず三度見返した。

彼女の歌声がもともとどこか尖っていたのもあるし、彼女がジャズの歌い手をしていたこともある。ともかく彼女はこのようにして、単なる一演歌歌手というよりは、日本歌謡文化の女王といえる存在と言っても過言ではないのだ。舟歌を聴く前から酔っぱらっている私には、これ以上多様な表現をもって彼女の魅力を伝えうることはできないけれど、ここに紹介する動画を見ていただければ、その魅力は存分に伝わるものであろう。

 

さて彼女の曲の中で、私がもっとも好きなのは『雨の慕情』である。


雨の慕情 / 八代亜紀

心が忘れたあの人も
膝が重さを覚えてる

 こんな歌詞をさらっと歌っていいものか。

こんなに詩的で切迫した歌詞は、誰の目にも触れずに埋もれて行くのがこの国ではなかったのか。

雨の慕情はその知名度に反して、こんなに胸を打つ歌詞を備えている稀有な曲のひとつであると思う。懐かしの歌番組などで流れるたび、私は少し覚悟をする必要があるのだ。こんなに悲しい歌詞を、こんなに悲しい歌詞を、雨の日でもないのに聴きたい自分がどこかにいる……。