或るロリータ

A Certain Lolita

古道具店で見つけた中身の読めない「マスク本」にワクワクする

三鷹の小古道具店「四歩」をご存知だろうか。駅前の大通りを少し歩いて、ふと路地裏へ折れたところで、ひっそりと店を構えている。小さな店で、目立つ看板もない。しかし、店先まで行くとその異様な雰囲気に圧倒されてしまう。「この店には何かあるぞ……!」と。

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店先には家具や食器、洋服といった家財道具が並ぶ。家に置きたくなる素敵なアンティークの数々だが、値段もお手頃なのがまたこの店に通いたくなる理由のひとつだ。狭い通路では思わずぶつかってグラスを落としてしまうんじゃないかとヒヤヒヤしてしまう。だから、何も持たずにふらりと訪れるのがいちばんだ。

店内には文房具やアクセサリーといった小物が煌めいている。ひとつひとつ手に取っては迷い、迷っては戻し、一周してまた手に取り、隅々まで行き渡ったセンスに絡め取られてしまい、決して手ぶらでは帰れなくなる。

ちなみに店の奥はカフェになっているようだ。まだ利用したことはないが、いつも店先のレプリカを見るたび食欲をそそられてしまう。そのうちランチでも利用してみたい。

さて、その日私が発見したのは「マスク本」だった。

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文庫本にそれぞれ丁寧な包装が施され、中は読めないようになっている。表に貼り付けられているのは抜粋された数行のみ。知っている一文に出逢うと思わずにやりとしてしまうし、反対に「なんだこれ……こんな本があったというのか……」と思わされるような新しい出逢いもある。(それに一冊300円って普通に安い!)

ワクワクが止まらず、一冊一冊手に取っては眺めてしまう。そして、今回連れて帰ることにしたのはこの一冊。

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さて、何の本でしょう。

それにしても、手書きの文字ってそれだけでほっこりした気持ちになる。文学好きのお姉さんが一文字一文字丁寧に書いたのだろうか、などと想像を掻き立てられながら……。

家財道具、文房具、そして文学。とにかく新しい出逢いが欲しいとき、つい足を運んでしまう店である。そして訪れるたび、「四歩」はいつも私たちを裏切らない。

淋しいおさかな (PHP文庫)

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