先般、おんぼろの軽自動車で突撃の旅に出た。主に写真撮影が目的である。おニューのカメラでひたすらに何か撮りまくりたい衝動に駆られていたのだ。道端に物憂げな向日葵でも見つけたなら、すぐに車を停めてパシャパシャやっていた。けれどその日は陽射しが強かった。おまけに帽子を忘れていた。もちろん日焼け止めなど塗っているはずもない。だからひとたび車外へ出ればすぐにいい感じに焦げ目のついたトーストみたいになることは必至で、不本意ながら偶然通りかかったセリアで麦わら帽子でも買おうかという結論に至ったのだ。
そうしてセリアの店内で汗が引くまでウロウロしていたんだけど、その時ちょうど天井のスピーカーからは夏ソングが延々と特集されていた。私にとってはサザンが夏であり、TUBEが夏であり、山下達郎が夏であるから、流行りの無闇に激しいだけで夏への愛を感じられない若者向けのポップスにはうんざりしていたところであった。
そんな時に私の偏屈な耳に飛び込んできた優しい歌声は、悔しいけれど夏だった。やわらかく入ってくる歌詞の内容が自分の少年時代を妙に思い出させて、思わず立ち止まったほどだ。もちろん誰が歌っているのか、何というタイトルなのか私は知らなかった。けれどどこか懐かしい雰囲気があった。
その懐かしさが気のせいではないとすぐに気づいた。曲のサビで「夏なんだし」と繰り返すのを聞いて、ピンときたのだ。これははっぴいえんどの「夏なんです」のアンサーソング的なやつか！きっとそうだ！絶対そうだ！
そう思うと調べずにはいられなくて、ググったら案の定「夏なんだし」というタイトルの曲で、まだ先月リリースされたばかりらしかった。歌っている星野みちるという娘は全然知らなかったんだけど、後で調べてみたらどうやら元AKBの娘らしい。
前置きが長かったけどとりあえず聞いてください！
かわいい！屈託のない笑顔がとてもいい！しかも地味に稲川淳二出てて豪華だし！
歌声がふんわりしてて、だけど歌詞は意外とドキっとする部分があったりして。最近は毎晩この動画を観ながら晩酌をするのが楽しみになっている。ただ誰にでも起こりうる平凡な女の子の青春を普通の言葉で綴っているだけなのに、ドキドキするのはなんなんだ。
ああ、夏ってなんでこんなに甘酸っぱいんだろう。
