夏が始まる前は、「今年の夏は沢山美味しいもの食べて、沢山遊ぶぞ!」なんて甘い夢を抱いていたけれど、例年通り今年も夏バテに襲われたのか、三度の食事の間際になると、咀嚼することへの深い疑念を抱いてしまい、ついついジュースやアイスクリームで誤魔化してしまいがちなこの頃である。そうしてけだるい時ほど、夏のセンチメンタルな部分ばかりが心身に染み込んできて、いつもはうるさくてしかたがない蝉の声に、「今日は妙にせつねえじゃねえか……」と言いたくなったりするのもまた夏の一日。
そうしてそんな時ほどお酒を飲みたくなるのが人間である。無論、私はそんな時でなくても飲んでいる訳であるが。
大勢で飲み会をしている時と違って、ひとりで飲んでいる時は基本的に感傷に浸りながら飲むのが常である。そんな時に、いい感じに気持ちを沈めてくれる音楽でもかけたなら、もう際限なく堕ちてゆけることだろう。今日は即席のモヒートを飲みながら、サザンを聴くことにする。
サザンといえば、子供の頃からよく母親が聴いていたのでなんとなく耳に残っていて、さらに中学生の頃に『エロティカ・セブン』や『マンピーのG★SPOT』などの曲を知ってスケベで頭がいっぱいだった私にはどストライクだった時期もあって、単にメロディや歌詞の内容だけでなく、思い出を呼び起こすという意味でも、サザンは私にとって鎮静剤の役割を果たしてくれる音楽のひとつである。(もちろん、陽気な曲はカラオケで歌って盛り上がったりもする。)
大人になってからサザンを聴いていると、やはり桑田圭祐は夏が好きなんだなあ、というのが判る。彼は夏の楽しい部分だけでなく、しんみりした部分も多く歌っているから。普段、暗いフォークや歌謡曲ばかり聴いている私だが、この季節になると、サザンが一番グっとくるのだ。そうしてその感傷が、酒の肴になることは言うまでもない。
今回はそんな私が、殊に涙腺崩壊へ誘われる曲を選んでみた。ちなみにあんまり動画を貼るのはアレなので、収録されているアルバムなどを紹介している。興味が湧いたらツタヤへダッシュだ!
夏をあきらめて
言わずと知れた名曲である。研ナオコのカバーが有名で、彼女のバージョンもまた陰があって好きだ。また、この曲に登場する「Pacific Hotel」というのは、加山雄三が経営していたという実在していたホテルであり、名曲「HOTEL PACIFIC」のモデルらしい。
C調言葉に御用心
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どうしようもない男心の悩ましさが伝わってくる曲。夜の海岸でひとりで聴いたりしたら多分泣く。
YOU
爽やかに歌い上げられているが、おそらく失恋ソングである。じっくり聴けば聴くほど切なくなる桑田圭祐の常套手段だ。
いとしのエリー
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酔って来るとやっぱり超有名曲が聴きたくなるものだ。もちろん、素晴らしい曲だから売れたのは間違いないし、何度聴いても切ない気持ちになるのは凄いことである。
海
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初めて聴いた時、「なんだこれ……」ってなるくらい胸にしみた曲。前にMステでaikoも好きな曲として挙げてた。学生時代カラオケで好きな男の子の前で歌ったらしい。
鎌倉物語
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原由子ボーカル曲。彼女の声はどうしてこんなに涼やかなんだろう。江ノ電に乗りながら聴くのが夢だ。
逢いたくなった時に君はここにいない
アルバム「SOUTHERN ALL STARS」より二度目。ストレートに、悲しい恋の歌である。サザンの場合、どんな曲でもそこはかとなく夏の情景が浮かぶのは、私だけだろうか。
TSUNAMI
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日本人なら誰もが知っているであろう名曲。何年か前、男だけで花火大会に行った時、クライマックスの場面で会場のスピーカーからこの曲が流れていて、心を抉られた記憶がある。
さよならベイビー
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一番好きな曲を訊かれたら、迷いに迷ってこの曲と答えるかもしれない。「消えた夏灯り 戻れない乙女」という歌い出しが、詩的で引き込まれる。
映画「彼女が水着にきがえたら」の主題歌らしい。実はこの映画観たことないので、映画の方も一度観てみたいと思っている。
ちなみにこの曲は、アルバム「SOUTHERN ALL STARS」にも収録されている。意図せず同じアルバムから三曲も紹介してしまった。つまり今からツタヤへ行く人は、まずこのアルバムを借りるといいかもしれない。
この夏はサザンを聴いて、思い切り泣きながらお酒を飲もう。
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