或るロリータ

A Certain Lolita

自分が今、幸せなのかが分からない

五月がもうすぐ終わる。夏がくるのだ。私は夏が好きだ。このまま走り続けていたら、夏なんてあっという間に訪れて、そうしてあっという間に過ぎてゆくだろう。そう思うと、一体どういう準備をして夏を迎えればよいのか分からなくなってしまった。

新しい仕事は楽しい。やりがいもある。賃金は安いけれど、これまでの私の人生で邪魔でしかなかった労働というものが、今や生きる活力にさえなりつつある。しかしふと、ひとりの夜になると、なんだか労働にすべてを注ぐことに疑いを持ち始めてしまう自分がいる。

大前提として労働は生きるために、生活するために行うものであろう。その労働が、自分を成長させるものであり、自分を楽しませる新鮮なものであったなら、より素晴らしいことには違いない。けれども労働が一日のすべてを背負ってしまったら、それは果たして正しいと言えるのだろうか。

ひょっとしてこの激しく鮮烈な毎日が永遠に終わらないのではないかという気がしておそろしくなる。気づけばお気に入りの革靴もぼろぼろだ。眠い目をこすりながら仕事をし、棒のような足を引きずって家に帰り、作り置きのカレーを掻き込んで、こんな風にしてときどきブログを書き、風呂に入り、布団に倒れ込む。なかなか寝付けない。耳元を掠めて飛ぶ小蝿のせいだろうか。寝付けないことに焦り、苛立ち、それでもどうにか眠りに就く。夢を見る。いつもよくない夢だ。悪魔も幽霊も登場しない、人間だけの悪夢を見るのだ。だから私は眠りが浅い。深夜、何度も目を醒ましては、また眠り、どうにか朝を迎える。結局また眠いまま、仕事に出かける。そんな毎日。

酒をやめた。外食もやめた。何もかもやめてしまおうと思っている。健康になりたい。清々しく生きてみたい。夜を愛して生きるのは、少しのあいだ休憩だ。そうしたら報われるだろうか。真昼の東京で胸を張って生きられる人間になれるだろうか。なんて、嘘だ。ほんとうはそんな人間になりたいわけじゃない。ただこうして、身体じゅうに鉛をまとわりつけたまま生きるのは、心まで寒くさせるから、夏がくるまえに衣替えをするだけなのだ。

 

 今週のお題「わたしの一足」

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