読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

或るロリータ

A Certain Lolita

喉から血が出た

午前三時ごろ、私はお風呂に入っていた。そんな時間にお風呂に入ることがまずもって不健康の象徴のようであるから、同情の余地もないのだけれど、とにかく私は真っ白な洗面台に赤い模様を描いてしまったから、慌ててパソコンに向かったわけである。調べても、調べても、出てくるのは、「咳のしすぎで喉が痛くて痰に血が混じっている」といった病例ばかり。私は咳など一切出ていないのだ。

ヤフーIDを持っていない私は、このブログを知恵袋の代わりに使うことにした。もしかしたら、この記事を読んだ有識者の方が、お知恵を貸してくれるかもしれない。ニートの頭に病院の二文字はない。

喉に違和感を覚え始めたのは昨日のことである。喉の奥から鼻の奥にかけて、なんだかつんとしてむず痒いのだ。ちょうど外を歩いている時だったから、塵や砂埃を吸い込んでしまったせいかと思い、水筒の水を含んだ。しかし、一向に改善する気配はない。

痒みの波はしばらく続いて、少し落ち着き、そんなことを繰り返しながら、私を弄んでいるようだった。ひょっとして、花粉症ではないか? そんな思いが強くなった。思えば数年ほど前から、私は時々このようにして喉の痒みに襲われることがあったのだ。

というわけで花粉症用ののど飴を購入し、舐めてみた。すうっとして、確かに痒みが引いていく。だが、それも飴を舐めている最中だけに過ぎなかった。飴が溶けきって少し経つと、またすぐに痒みがぶり返してくる。

私はのど飴と、帰宅してからはイソジンうがいを交えながら、騙し騙し一日を送って行った。

そうして夜になり、風邪の前兆かもしれないと、葛根湯を飲んでから入浴した。私は入浴中に歯磨きをする人間なのだ。歯を磨き終え、うがいをすると、吐いた泡がピンク色をしている。おかしいな、と今度は口をゆすいでから、唾だけを吐いてみる。すると、鮮明な赤い色が、まるで金魚が泳いでいるみたいに、洗面台の上に現れたではないか。

ああそうか判ったぞ、酒の飲み過ぎにちがいない。このごろ強い酒ばっかりストレートで飲む癖がついていて、「この喉の焼けるような感じがたまらん」などと思っていたら、ほんとうに焼けてしまったにちがいない。それなのに私は入浴直前までウイスキーをちびちびちびちび飲んでいた。傷口に塩とはこのことである。

しかし酒を飲みすぎるのは今に始まった話ではない。何か悪い病気の前兆だったらどうしよう。思い当たる節はたくさんあった。ありすぎて判らないのだ。今は痛みは引いてしまった。しかし相変わらず唾には血が混じっている。最近、家の水道水が妙に鉄くさくて飲みづらくなった気がしていたのだが、まさか自分の喉に原因があったとは夢にも思うまい。一昨日の自分よ、その水、何度沸騰させても鉄の味するから!それは徒労だから!と教えてあげたい。